長い予約待ちだった本ですが、忘れたころに図書館から連絡が入りました。発達障害児へのマッサージについては、中締めも終わり、次は実践という感じだったため、「読む?」と迷ったのですが、
著者の栗本先生は整体や各種手技療法のプロで、この1、2ヶ月で読んだ本とは傾向が異なっていたため熟読させて頂きました。
栗本先生は「からだ指導室 あんじん」というホームページを立ち上げられています。
・「整っている身体」とは睡眠や休息によって、疲れを回復できる身体。
・「いい姿勢」は一人一人違う、息が深くできるのがいい姿勢。
左の図は中央に置かれた5感(触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚)と2覚(前庭感覚・固有受容覚)が「感覚調整」と「運動行為」という2つの問題に関わっているという図で、感覚統合を理解するうえで、たいへん分かりやすいものであると思います。
画像出展:「もっと笑顔が見たいから」(花風社)
今回の本は上の図でいえば、右側の破線で囲まれたボックスに示された「姿勢」や「運動行為」に焦点を当てた内容になっています。
その中からここでは、『4.腰は使えているか?』と『8.大事なのは「土台」』、からだの部位で言えば「腰」と「足」について取り上げたいと思います。
「腰が使えている」とは「腰の力を入れたり抜いたりが自在にできること」という意味です。例えば、タオルを使って二人で綱引きすると、腰が使えていない人は腰がへっぴり腰になります。普通の人でも腰痛があると思うように力を入れることができず、へっぴり腰のようになるのではないでしょうか。
注)下記の図は、「固有受容覚」以外、すべて「自閉っ子の心身をラクにしよう!」(花風社)から引用させて頂いたものです。
腰が使えるようになるトレーニング
和式トイレを使うように腰を下ろして、両脚を交互に動かし、座ったままの状態で歩きます。
お尻を後ろに突き出さずに、まっすぐ下すようにします。下せるところまででOK]です。
土台がしっかりしていないと、本来入るべき所に力が入らず、逆にリラックスすべき所に力が入りっぱなし等ということがおきるため、疲れやすくなります。
土台をしっかりさせるということは、まさに「地に足を着ける」ことです。このことは「整った身体」を作るコツです。そして、情緒の安定や集中力の向上、意欲の増進につながります。
「地に足を着ける」には足首の柔軟性と調整力が必要です。足首が使えていないと、つま先立ちとなり、首が緊張し前傾しやすくなり、その結果、姿勢が悪くなります。
足首は蝶番関節といって、ドアのようにパタパタと上下させることができるのですが、うまく使えていないと、動く必要のない筋肉まで緊張して、全体が動くような感じになってしまいます。
また、つま先立ちになりがちなのも足首の問題です。これにより、首が前傾し姿勢が悪くなります。
自閉症は周りの刺激にずっと反応し続けるために、頭が休まらず疲れやすいという傾向もあります。また、多動といわれる症状は、落ち着きのなさだけでなく、不注意や衝動的なふるまいが見られるものです。
姿勢の悪さは不安を生み、それをカバーするために、からだを動かしているという指摘もあります。従って、地に足を着け、土台をつくり、姿勢が良くなればこのような問題は改善が期待できます。
地に足を着けるためのトレーニング
・足に触れたり、足関節や個々の足指の関節を動かしたりして、触覚と固有受容覚を刺激します。
・つま先立ちなど、足関節の緊張や硬さなどを軽減するため、収縮する筋肉のフクラハギ(腓腹筋・ヒラメ筋)と反対に伸びる、前側にある前脛骨筋へのマッサージを行います。また、太ももの裏側(ハムストリングス)などをストレッチしてあげるもの有効です。
「固有受容覚」とは関節の曲げ伸ばしや筋肉の動きを脳に伝える感覚です。
画像出展:「もっと笑顔が見たいから」(花風社)
腰から頭まで揺れが伝わるようにして、からだ全体の力みを取り、心地よい感覚を作ります。
術者も手だけではなく、腰を使って動かすイメージです。
これらは、仰向けで行うのでアイコタクトを意識すると、さらに良いと思います。