第6章 「メンタル強化」で炎症ゼロ
●炎症ゼロ習慣40…「体のコゲ」を増やすストレスは早めに解消
・病気の原因はストレスと言われるが、そこには慢性炎症が関係していると考えられるようになった。特に脳はストレスにより炎症が引き起こされることが明らかになっている。
・ストレスとの関係では自律神経も非常に重要である。ストレスで優位になった交感神経は血糖値を上昇させ、糖化によりAGEを増加させ慢性炎症を起こす。また、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎もストレスの影響が大きい。
●炎症ゼロ習慣41…ストレスの度合いを「見える化」する
・ストレスマネージメントに重要なことは、「自分のストレスを自覚する」ことである。
・ストレスはネガティブなものとは限らず、ポジティブな昇進や結婚など喜ばしい出来事もストレスになる。これらは気づかないうちに溜まるストレスと言える。
●炎症ゼロ習慣42…タバコやお酒よりも体に悪い「孤独」
・人とのつながりが少ないことは、タバコやお酒の害を上回る。電話、メール、LINEだけでも孤独感をやわらげることができる。
画像出展:「孤立が病気や死亡を招く!(NHK)」
『人生100年時代。健康長寿の秘けつを特集。3日目のテーマは「孤立」。実は孤立は心臓病や認知症のリスクを高め喫煙や飲酒以上の健康リスクとされる。特にコロナ以降は人との接触が制限される中、孤立状態に陥る人の増加が危惧されている。』
●炎症ゼロ習慣43…「病気の写真」を見ない
・人は、「ミラーニューロン」により、他人のネガティブな情報を自分が経験したようなストレスに感じてしまう場合がある。また、「ネガティビティ・バイアス」は人がネガティブな情報に向きやすく、記憶に残りやすいという特徴がある。よって、ネガティブな情報自体にふれる機会を減らすことが重要である。
●炎症ゼロ習慣44…「私」と言ってはいけない
・人は常に心の中で自分自身に問いかけている。この心の中の独り言を「セルフトーク」という。この際、「私は、がんばらなくちゃいけない」という一人称ではなく、「(自分の名前)、がんばれ!」という第三者の視点から自分に語りかけるようにすると良い。これは「メタ認知」による効果と考えられている。メタ認知とは他者の視点で客観的に自分を見つめること。冷静な視点で自分の気持ちや状況を把握・分析することにより、感情のコントロールをうまく行うことができる。
●炎症ゼロ習慣45…毎日の「3つのよいこと」で幸福度アップ
・ストレスはその日に解消するのが理想的である。「3グッド・シングス」とは1日の終わりに、その日にあった「よかったこと」を3つ書き出すという方法である。これは記憶に残りやすいネガティブな情報ではなく、ポジティブな情報を意識的に思い出し、前向きな気持ちで1日をリセットし、新たな気持ちで次の日を迎えようとするものである。
●炎症ゼロ習慣46…「スマホのストレス」から脳を解放する
・スマホの使い過ぎは「脳疲労」につながる。脳疲労は集中力の低下、物忘れ、感情のコントロールする力の低下などの原因となり、些細なことでイライラしたり、落ち込んだりといったメンタルの問題にも関わる。
●炎症ゼロ習慣47…「頭をからっぽ」にして、悩みを回避
・ネガティブ思考の人の中には「答えの出ない悩み」に取りつかれてしまっている人が少なくない。過去は変えることができず、未来に何が起こるかは分からないので、本来、考えても意味のないことで、ストレスだけが溜まっていく。
・マインドフルネス(瞑想方法)は現在に心を向けることである。医療現場や企業の研修にも取り入れられている。初心者は、まず「呼吸に集中する」のが良い方法である。
画像出展:「マインドフルネスの意味をわかりやすく解説!初心者向けのやり方やアプリも紹介! (コグラボ)」
『マインドフルネスとは、「今、この瞬間に起きている目の前のことに意識を向ける」という心の状態です。この状態を作るために役立つ方法は、「マインドフルネス瞑想」と呼ばれます。』
●炎症ゼロ習慣48…「できる1割」だけに注力して、9割は手放す
・ビジネスの世界で注目されているのが「ストア哲学」である。ストア哲学の中で、ストレス・コントロールに役立つ考え方が「自分の力でコントロールできること、できないことを分ける」というものである。自分の力ではどうしようもないことは手放す。何もしない、悩まない。これだけでもストレスは減る。
画像出展:「ストア派の哲学【ざっくり1分】まとめ(モチラボ)」
『ストア派の哲学では理性(ロゴス)によって感情(パトス)に打ち勝つことを目指します。そして、それによって感情に負けない心(アパテイア=不動心)という究極の境地に到達することが幸福だと考えます。』
動画(5分26):「ストア派の哲学 - マッシモ・ピリウーチ(好奇心を持ち続けよう)」
とても分かりやすい動画です。ストア哲学に感銘をうけ、『ストア派の哲人たち』という本を買ってしまいました。
●炎症ゼロ習慣49…「最悪な状況」を思い浮かべる
・「ストア哲学」の中に、「ネガティブ・ビジュアライゼーション」がある。これは最悪な状況をイメージすることで、気持ちをコントロールする方法である。イメージする悪い状況は実際にはまだ起こっていないので、現実をポジティブに捉え直すという効果がある。その結果、現状に対する過度な不安・不満がなくなり気持ちが安定する。
・無意識のうちにネガティブな考えが浮かび、なかなか消えない場合はポジティブではなく「ネガティブ・ビジュアライゼーション」が有効である。
画像出展:「Negative Visualization:精神的に強くなるためのストア派の実践(njlifehacks)」
『将来起こりうる悪いシナリオを頭の中で想像(視覚化)して、そうした事態が起きたときに備え、冷静さを保ち、最善の方法で対応できるようにします。』
●炎症ゼロ習慣50…「ストレス対処法」のリストを持ち歩く
・ストレスは様々、人も様々なので心のケアには自分なりのストレス対処法を見つけることが重要である。
画像出展:「コーピングリストとは?(コグラボ)」
『コーピングリストは、ストレスに対処する方法を書き出してリスト化したものです。このリストを作成しておくと、実際にストレスを感じる場面に遭遇した際に、迷いなく自分に合った方法でストレスに対処できるようになります。』
おわりに 名医よりもクスリよりも、「病気にならない」が重要
『健康になるためのタンクがあるとしましょう。ここに「プラス」を貯めていくと健康なる仕組みです。お酒を飲んだりタバコを吸ったり、甘いものを食べすぎたり……と体にとって「マイナス」なことをすると、炎症が増えてしまいます。炎症になることで、タンクは傷つき、穴が開いてしまうので、せっかく貯めたプラスの水はどんどん漏れてしまいます。これではいつまでたっても、健康のタンクは満タンになりません。水を貯めるには、水の量を増やすことよりも、炎症を消して、タンクの穴をふさぐことが重要なのです。
人の体もこれと同じ。炎症を消し、予防することで、健康の土台をつくることが大切です。そうして免疫力を高めて、「病気ならない体づくり」を実践してほしいのです。』