株式投資1

3月に“株と債券”というブログをアップしました。その後、「1冊は本格的な投資の本を買って勉強した方が良いだろう」と思って本を探していたのですが、“ばっちゃまの米国株”さんの師匠である広瀬隆雄氏が推奨されている本があり、その中から『オニールの相場師養成講座』という本を購入することにしました。

著者:ウィリアム・J・オニール

初版発行:2004年5月

出版:パンローリング株式会社

この本は非常に勉強になりました。もっと早く読んでいれば良かったのにと思います。1番良かったことは、株式投資はコインの裏表のようなものだと思うのですが、今までは“表”が「儲けたい」、“裏”が「損したくない」という感情的、主観的な「欲ブタ」な感覚だったと思います。今は、“”は「資産を守る」、“”は「方針に従って売買すれば結果はついてくる」という理性的、客観的な感覚をもって、ある程度は考えられるようになったことです。

画像出展:「ユピスタ

株式投資において理性的、客観的になるというのは「永遠のテーマ」という感じです。

また、チャートの重要性をあらためて認識しました。チャートからの情報を冷静に検討することは、市場(特に金利)と業界・会社(特に業績)とともに最も注目すべきことの一つだと思います。

画像出展:「yahoo finance

これは6カ月間のS&P500のチャートです。//のラインはそれぞれ21日/50日/200日の移動平均線です。下の棒グラフは出来高です。

 

CONTENTS

訳者まえがき

序文

はじめに

ステップ1 市場全体の方向性を見きわめる方法

ステップ2 利益と損失を3対1に想定する方法

ステップ3 最高の銘柄を最適なタイミングで買う方法

ステップ4 利益を確定する最適なタイミングで売る方法

ステップ5 ポートフォリオ管理―損を抑えて利益を伸ばす方法

はじめに

●市場は人間的な感情と個人的な意見に基づいて行動する多くの人達で構成されている。

●投資での成功と個人の感情や個人的な意見は無関係である。

●市場を動かしているのは群集心理である。特に多くの投資判断を左右しているのは、願望恐怖心プライドエゴである

●市場が従うのは需要と供給の法則である。つまり、市場に逆らわずに市場に沿って行動することが重要である

●需要と法則の原則はあらゆるアナリストの意見より優れている。

●投資ルール、投資原則を学ぶべきである。特に、売りルールを持っていなければならない

●株が値を戻すのを願って待つのではなく、小さな損失が出たらいつもすぐ売ることを学ぶ。

市場が上向きなのか下向きなのかを知る

●株は下げている時ではなく、上げている時に買う。

●株は下がりに下がって割安に見える時ではなく、年初来の高値近くで買う。

●安値に沈んでいる株より高値に上がっている株を買う。

●PER(株価収益率)はほどほどにして、利益の伸び、出来高の動き、その企業が業界内でもっとも利益をだしていることなど、実証済の要素に注目する

●マーケットニュースレターやアナリストなどの情報に対しては慎重かつ客観的に向き合う。

自分の間違った判断は記録に残し、どんな間違いだったのか分析する

チャートと長く接していれば、株価が大きく上昇する前兆となるパターンや手を出してはいけないダマシのパターンを見抜くことも可能になる

画像出展:「オニールの相場師養成講座」

・バーの上端はその週の最高値、下端は最安値、クロスハッチは終値。週足であれば週の最後の株価です。

・値上がり週(横棒が前週よりも太い線)

・値下がり週(横棒が前週よりも細い線)

 

出来高の大小や±は、株価の値動きと同じように重要である。上記のグラフでは①前週よりも売り出来高増が7週、②株の値動きが乏しい、③売り出来高増7週のうち6週が週平均出来高を上回る。この3つがポイントである。

重要なシグナル

-過去の業績はあまり重要ではない。

-現在の業績の過大評価は禁物である。

-株価が下がっていて割安になっていても、将来の見通しが不透明であれば手を出すべきではない。

ステップ1 市場全体の方向性を見きわめる方法

●マーケケットが上か下か横ばいかを知ることが大切である。

●市場全体(ダウ工業平均、S&P500指数、ナスダック総合指数など)が天井を付けて下方へ転換すると、保有株の多くが下落する可能性は高い。

市場の天井を見きわめるスキルは非常に大切である

景気指数や経済指標に頼りすぎるのは危険である。それは経済が市場をリードしているのではなく、市場が経済をリードしているからである。

●マーケケットテクニカルアナリストは50~100種類のテクニカル指標に注目しているが、大事なことは個別銘柄そのものを注意深く観察することである。森を見ることも必要だが、一つ一つの木を見ることはもっと大切である。

市場の傾向を掴むには、主要な市場指数を毎日見て自分自身で分析することが大切である

●総出来高の増減や、1日の出来高と平均出来高と比較することは重要である。

上昇トレンドでは値動きと出来高がいずれも上昇しているのが一般的である。これは「アキュムレーション」といわれる。

●アキュムレーションを追跡するには、各種指数の高値、安値、終値とその出来高がプロットされているチャートを使うことである。

売りが買いを上回ることを「ディストリビューション」と呼び、それが起きているのを見きわめることが大切である。ディストリビューションの1日目は指数の終値が前日よりも低く、出来高が大きいときである。

●50年間の研究で認識したことは、2~4週間の中でディストリビューションが5日あると上昇トレンドから本格的な下降トレンドへ転換した可能性があることである。市場が一時的に反発することもあり、下げ幅の大きさにも注意すべきである。 

ディストリビューションのシグナルには「ストーリング(失速)」もある。市場の活発な上昇後、突然その勢いが止まってしまう場合である。下がるわけではなく、上昇率が明らかに小さくなることである。ポイントは売買比率の変化であり、注意すべきは機関投資家などの動き、出来高である。

“2000年3月に株式相場が天井を付けたとき”

画像出展:「オニールの相場師養成講座」

「ナスダック総合」は米国の代表的な株式市場、NYダウにくらべハイテク関連やインターネット関連の新しい企業が多いのが特徴です。

 

 

●総合指数のディストリビューションの出現と主導してきた主要銘柄の天井には関連がある。

●数日間続く大量の売りは、利益確定による可能性が高い。

短期の下げか長期の下げトレンドかの判断が鍵。ディストリビューションとストーリングが参考になる。

●天井では相場から手を引き、買うことを控えなければならない。

●希望的観測は不要、市場の事実が最重要である。

スキルを身に付けるには忍耐と鍛錬が必要である

●ベア相場の傾向として寄り付きで上げ、大引けで下げることが見られる。一方、ブル相場では逆に寄り付きで下げ、大引で上げることがある。

●下降トレンド相場がどこまで進むかは誰にも分からない。分かることは、重いディストリビューション状態にあり、下降するということだけである。

下降から上昇への切り換え前には数日間の続伸が目安になる。「フォロースルー」は通常、4日目から7日目に見られることが多い。フォロースルーは前日と1日平均よりも多い出来高を伴って1.7%以上の大きな幅で力強く上げている日である。1日、2日の上昇をみて慎重に判断する必要がある

●新たなブル相場がフォロースルーデーなしに始まったことはない。

画像出展:「フォロースルーデーとは?:投資の勉強

こちらは“米国株長期投資くらぶ”さまのサイトです。

ステップ2 利益と損失を3対1に想定する方法

いつ、なぜ、売るのかも分からずに株を買うことは、ブレーキのない自動車を買うようなもの、救命具を持たずにボートに乗るようなものである。

●機関投資家の動向を知ることは非常に大事である。特に「売り」に傾いていることを認識することが大切である。これは機関投資家側からは「売り」の情報が出てくることはないからである。

自分の感情や他人の言葉に左右されることなく、保有株が思惑に反した動きをしたとしても、常に客観的でなければならない。大事なことは市場の動き、株価と出来高の動きを通じて、機関投資家などのプロが何をしているかに注目することである。

自分を守る確実な方法は、株価が上昇しているときに利益確定をすること。株価の勢いがなくなり下降し始めたら売って早めに損切りするという現実的なプランを持つことである。具体的には+20~25%で売却(一部)し、-7~8%までにすべて損切することである。つまり目標利益を許容損失の約3倍に設定することである。

●利益がなかなか出そうにない極めて難しい相場では、例えば株価が3~5%下がったところで売り、10~15%上がったところで利益を確定し、投資資金における現金の割合を増やすという選択肢もある。売買の判断を柔軟に変えるのは問題ないが、大事なことは3対1の比率を守ることである

●『買値から7~8%安で売ったとたん、反発してしまうことがよくあることに注意しなければならない。そうなったら、あなたは自分を愚かだと思うだろう。あなたは、「そもそもこの株を買ったことは正しかったが、売ったことが間違いだったのだ」と自分に言い聞かせるだろう。だが、売ったことが本当に間違いだったのだろうか? 7~8%で売ったことは、回復できないほどの破壊的な損失を確実にさけるためにやったことだ。7~8%が、15~20%、さらに30~40%、あるいはそれ以上に下落することに対して防御しているのだ。一種の保険だと考えてみよう。あなたの家が昨年火事で焼失しなかったからといって、火災保険を掛けていたことで自分を責めるだろうか? そんなことはないだろう。損失を早めにカットすることはそれと同じだ。反転して20%値上がりすることもあり得る株を7%の損失で売ることは、保険を掛けていない家が焼失した場合のように、回復できたとしても、回復するために何年もかかることになる。70%級の損失を避けるための小さなコストなのだ。

そういう売買方法も、もっと大きなリスクを背負って株式投機をやっている人にはいいだろうが、変動幅の小さい「優良株」や「投資適格銘柄」に投資している買い持ち型の長期投資家たちにはどうだろうか?―とあなたは思うかもしれない。さて、皆さんにお知らせがある。そんなものはないのだ。すべての普通株はきわめて投機的であり、一般に安全だと見られている銘柄を含め、大きなリスクを持っている。多数の買い持ち型の長期投資家たちは、売りルールを持っていなかったために2000~2003年にかけて50~75%を失った。

●事例)ルーセント・テクノロジー(1996年AT&Tから分離~2006年フランスのアルテカSAと合併しアルテカ・ルーセントになった~2016年フィンランドのノキアに買収された)

“リスクのない銘柄はないので、損切りは常に早めにしなければならない”

画像出展:「オニールの相場師養成講座」

AT&Tから分離独立したルーセント・テクノロジーは世界最大の電気通信機器のサプライヤーであるだけではなく、画期的な技術革新を生み出しました。株価は1999年12月に$64の天井を付けたあと、98%急落し、$1未満にまで落ちました。

 

 

 

ご参考私自身の良くない事例

1.マイナス96%超になってしまっている保有株

反省

●この銘柄は2021年3月に購入したものなので、まさに“勘”だけで売買していたころの事例です。運用資金の5%程度だったこともあり、十分な検討なしに購入してしまいました。購入したときにはミーム株(SNSなどネット上で話題になる「はやり株」のこと)という言葉も知らず、この株がそのミーム株に該当することも知りませんでした。オニール氏の本を読んでいれば手を出すことはなかったと思います。

何故買うのか、いつ売るのかといったプランも曖昧なまま手を出しました。株価は購入日から18日後には$4.42と+79%と高騰しましたが、この勢いであれば$6.00は行くだろうと考えて(願って)売ることはしませんでした。その後、最高値から32日後(2021年3月4日)には購入価格($2.46)を割り込みました。同月(3月)は取引日で計10日、買値を上回りましたが、【欲ブタ】になっておりもっと上がるという気持ちは同じでした。

●購入規模が小さかったこともあり危機意識が明らかに欠けていました。この見込みの甘さがすべての問題の原点だと思います。

●利益を得る最後のチャンスは1日のみ、同年10月25日にやってきました。この日の終値は$3.15でしたので、約30%の利益を得ることが可能でした。非常に迷ったことをよく覚えています。しかしながら、「きっともっと上がるだろう(上がってほしい)」という気持ちには勝てませんでした。(またも【欲ブタ】と化していました)

●2024年8月31日時点の株価は$0.093になっています。こここまで下がると紙切れ同然なので売る気もなく、自分自身への警告と思って保有し続けています。この会社はAIのソリューションを手掛けています。2006年設立であり、20年近く続いている会社なので小さな望みは捨てていません。ただ、これも淡い期待と覚悟はしています。 

2.まずまずの敗戦処理

反省

●購入は2023年4月3日なので、本での勉強前ではありますが、売却した7月20日は、まさに「株日記」をつけ始めた日であり、“ばっちゃまの米国株”さんのサイトを知ったあとで、“勘”での運用を改めようと考えていた時期でした。

●この株は、4月は買値を上回った日数と下回った日数がいずれも10日と拮抗していましたが、5月になると買値を超えたのは2日と9日の2回だけとなり、下落していきました。

●売却時の損失は9.58%でした。もし、売りルール(‐8~‐7%)に基づいて売却していたとすると、2023年5月15日が売却日となっていました(実際の売却日の約2ヵ月前)。

●国内株を2銘柄買おうと思い、ネットの情報をいくつかみて十分な検討なしに銘柄を決めました。その意味では、1.でご紹介した米国製造会社株の購入に近い感じ、雰囲気買いといえます。やはり、慎重な調査、分析が必要で「売りルール&売り例外ルール」を決めておくことも、同様に必須だと思いました。

この株が2023年7月20日(2210円)以降どうなっているのか調べてみました。翌年(2024年)年初の株価は2022円、その年の5月10日に急騰し2510円に、7月には2700円を突破。8月5日の歴史的大暴落では2187円まで下落するものの、今は2600円台を回復しています。

売却せず10カ月以上保有していれば利益を得るチャンスが到来したわけですが、これは何とも言えないところです。言えることは、根底にあるのはその会社の実力、その会社に対する理解と信頼。そして、その判断の時にどれだけ客観的に検討し、納得して決断したかどうかという事だけだと思います。(この10カ月間は国内金融会社に投資し15%以上アップしていたと思うので、もし、2650円くらいでこの会社の株を売却していたら、負けていたと思います)

●GMや3Mのような真の長期成長株もあるが例外的であり、数年の低迷期は存在する。

●分散投資はリスクを下げるが、2000~2002年のようなベア相場では遅かれ早かれすべての主導株は引きずり下ろされることになる。絶対保証付きの安全策ではない。

こだわりを持たないことは重要である。株はお金だけでなく、自尊心やエゴ、感情に左右されてはいけない。それは、これらのこだわりは手放す判断の障壁になるからである。

多くの投資家のこだわりは言い訳につながり判断を鈍らせる。これらは人情に他ならない。こだわりをコントロールすることはとても難しいが、身に付けなければ投資リスクを高めてしまう。

●『株価が下がって評価損が出ている時は、反発することをやみくもに願うのではなく、さらに下がるのではと恐れなければならない。売ることをさらに難しくするのは、あなたの保有銘柄に関してだけでなく、市場や経済全般に関して耳にするたくさんの意見だ。「専門家たち」―そもそもその株を購入したときに耳にしたのと同じ専門家たちかもしれない―が、その会社がまだ優良であり、数ポイント下がった今こそ以前にも増して買い時であると口にするのを耳にするだろう。だが、繰り返すが、それらは彼らの個人的な見解にしかすぎない。株式市場では個人的な意見になんの価値もない。あなたが尊重しなければならない唯一の意見は、市場そのものの意見だけだ。相場はあくまで需給関係で決まるのだから、どこへは行くが、どこへは行かないということはない。だから、戻って来られないような場所へ連れていかれないように気をつけるのは、あなたの役目だ。