『病気がみえる vol.2 循環器』を元に各不整脈の一覧表を作りましたが、最初に心臓に関する基本的なことをまとめたいと思います。
画像出展:『人体の正常構造と機能』
心臓の位置は中央やや左、高さはおおよそ第1肋骨から第6肋骨である。
画像出展:『人体の正常構造と機能』
心臓は心膜と心膜腔に囲まれている。
画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』
・心臓は横隔膜、胸骨、脊柱に付着し、心臓の過度な移動や拡張を防いでいる。
・肺などの周辺臓器に感染がある場合、心膜は感染の拡大を防ぎ、心臓への影響を遅延させる。
※心膜はファシアである。
画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』
・心膜腔には正常で15~50mLの心膜液が貯留している。
・心膜液は臓側心膜と壁側心膜の摩擦を防ぎ、心臓のスムーズな拍動を可能にしている。
・心膜液は臓側心膜で産生され、胸管や右リンパ管に排出される。
画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』
画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』
画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』
まとめ
不整脈を考える上で知っておくべきことは以下の3つです。
●心臓の電気生理
●不整脈が生じるメカニズム
●薬物の作用機序
”心臓の電気生理”は次の3つが重要です。
●脱分極
●再分極
●不応期
『「電気生理学について深い知識なしに不整脈の治療はできない」というのはおこがましい。しかし、「イオンチャネルについてささやかな知識がなくては、不明脈の治療はできない」というのは正しい。』とのことです。
不整脈治療について、村川先生は次のようなお話をされています。
『「抗不整脈薬の薬理学はどうもわかりにくくて、嫌になる」というのはまともな感覚。なかなか頭の中が整理できない。』
『これまで蓄積された情報を十分マスターしたとしても、未知の要因がたくさん残されている。不整脈の専門家でも「確信はないがとりあえず使ってみる」というパターンが多い。』
『陰性変力作用や催不整脈作用、あるいは薬物代謝の面で使いにくい薬剤を避けるという「消去法の発想」のほうが正直な道だと思う。』
『それなりのクスリはあるが、魔法のクスリはない。』
『不整脈の治療には、とりあえず、「イオンチャネル」と「それ以外」と単純に考えてよい。』
『不整脈についての知識と経験が増すほど、意識的に治療しないという道を選ぶ。』
『頑張りすぎると募穴を掘る。』
『「慎重さと果敢さのバランス」も大事。』
☆自律神経系の影響を受けやすい
●特に洞結節、房室結節は自律神経系の影響を受けやすい。
☆心房細動に関すること
●発作性心房細動はしばしば肺静脈の反復性興奮による。
●多くの抗不整脈薬は陰性変力作用を有するので、心エコーによる心機能の評価なしの投薬には限界がある。心房細動を見たら心エコーは必須。
☆心機能と腎機能が低下している高齢者
●陰性変力作用が少なく、腎排泄でないという条件に加え、潜在的な徐脈性不整脈や催不整脈作用に注意する。
☆アミオダロンとICD(植込み型除細動器)
●アミオダロンは最もパワフルな抗不整脈薬であり、適応を判断することが難しいため、基本的に不整脈薬専門医によって処方される。
●アミオダロンは副作用の点で使い方が面倒だが、重篤な心室不整脈にはほぼこれしか選択肢はない。使うべきときには積極的に使う。ハイリスクなら植込み型除細動器(ICD)が併用される。