結合組織について

膠原線維(コラーゲン)からなる結合組織は上皮の下にあります。コラーゲンは身体の総蛋白量の約1/3~1/2に達し、体重の4~6%を占めています。そして筋膜、腱、皮膚、骨はコラーゲンで作られています。
一方、結合組織としての機能は多岐にわたり、いずれも重要な役割を担っています。デスクワークによる肩こり等で最近注目されている筋膜も結合組織であり、筋肉に加え、筋膜などの結合組織の働きを正しく理解することは鍼灸師としても重要です。

ここでは結合組織の概要と主な機能についてまとめます。なお、内容は「細胞と組織の地図帳」(講談社)に基づいています。
細胞間物質の種類
細胞間物質には膠原線維(コラーゲン)、弾性線維、細網線維の線維性のものと、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの基質とがあります。


結合組織の主な機能
1.体の器官の支持(支持組織とも呼ばれる)
2.血液ガス、栄養物質、代謝産物の輸送や交感とその調節
3.水と電解質の平衡維持
4.大食細胞(マクロファージ)が異物を貪食
5.脂肪やビタミンAなどの貯蔵
6.上皮組織の分化誘導
7.傷害に対する修復


結合組織の主な細胞
1.線維芽細胞:膠原線維を産生し、結合組織の主役である
2.未分化間葉細胞:胎生期の間葉の性質を残している
3.周皮細胞
4.肥満細胞:ヘパリン、ヒスタミン、セロトニンなどを含む顆粒を充満させている
5.大食細胞(マクロファージ):異物を貪食する
6.単球:大食細胞に分化する
7.形質細胞:抗体を産生する
8.樹状細胞:抗原を取り込みリンパ球に抗原を提示する
9.リンパ球:免疫に関与する
10.好酸球:免疫複合体を破壊する


炎症
炎症は結合組織がある種の傷害をうけたときに起こる局所的な生体の反応です。そこでは血管の透過性が亢進し、多数の白血球が活動し、組織液が貯留します。動員された結合組織の細胞は異物による組織の破壊や損傷を修復します。


図の概要
1.線維成分
縞模様のある膠原線維が束となって蛇行し、その間を縫って走る弾性線維が組織に弾力性を与え
ています。網の目のように張りめぐらされた線維と毛細血管の間に、様々な細胞が装いをこらして存在し結合組織の働きを分担しています。
2.細胞成分
膠原線維に寄り添うように存在する紡錘状や星状の線維芽細胞は、次々と膠原線維を産生し、結
合組織の主役をつとめます。毛細血管の周囲にはそれに類似した細胞がビタミンAを貯蔵しています。脂肪を一杯にためこんだ脂肪細胞、わずかの刺激でヒスタミンを含む顆粒を放出する肥満細胞もあります。形質細胞は発達した粗面小胞体によって抗体を産生します。

結合組織
細胞と組織の地図帳

画像出展:「細胞と組織の地図帳」(講談社)

・左上段から下へ
 ・弾性線維:茶色
 ・膠原線維:黄色
 ・形質細胞:紫色・丸型
 ・脂肪細胞:金色(切り口は白)
 ・肥満細胞:緑色
 ・リンパ球:青色

・右上段から下へ
 ・線維芽細胞:紫色・星型
 ・毛細血管:赤色(引き出し線なし)
 ・好酸球:茶色
 ・大食細胞(マクロファージ):藤色

 ・周皮細胞:薄茶色