これは、「月刊トレーニングジャーナル 2016 12 No.446」の「筋肉の質」に関するブログになります。寄稿されたのは帝京大学医療技術部講師 川田茂雄氏です。今までこのような情報に出会ったことがないため、アップさせて頂きました。
加齢によって筋肉はどのように変化するか(変化しないか)について論じられています。
1.加齢に伴って最大筋力は減少する。
2.筋収縮速度(骨格筋そのものが備えている収縮速度)は年齢による影響を受けない。
筋収縮のメカニズムの概要についてご説明します。
下図は筋肉の内部構造の全体像です。右図の大きな円柱は骨格筋で内部は、筋束>筋線維>筋細線維>筋フィラメント(Fアクチンフィラメント・ミオシンフィラメント)に細分化されていきます。筋細線維の周りを囲むように覆っているのが、筋小胞体で内部には筋収縮に必要なカルシウムイオンが濃縮されています。また、紫色のプレートの形をしているのが、ミトコンドリアであり、筋の収縮エネルギーであるATPを供給します。筋の収縮に直接関与しているのは、赤色のFアクチンフィラメントと並行して存在する水色のミオシンフィラメントです。これら2つの相互作用により収縮が起きます。
画像出展:「細胞と組織の地図帳」 講談社
左の3つの表は(A)体重当たりの最大筋力、(B)脚長あたりの無負荷最大収縮処理速度、(C)最大パワー です。
横軸は年齢になっており、(A)(C)の最大筋力、最大パワーは年齢が進むにつれ低下していますが、(B)の最大収縮速度は低下しません。
画像出展:「月刊トレーニングジャーナル 2016 12 No.446」
まとめ
1.加齢に伴う筋萎縮に関し、筋の量的変化は生じるが、分子レベルでの質的変化は生じない。
2.上記表(B)の測定は無負荷の状態で実施したものである。現実的には加齢に伴い、筋が萎縮し脂肪が増加するということが起きるため無負荷とはいかなくなる。これは足首にアンクルウェイトを巻いて運動するようなもので、負荷が加われば動きに影響が出る(遅くなる)。
3.食事(栄養)と筋肉への負荷トレーニングを継続し、脂肪を増やすことがないように十分な体調 管理を徹底し、筋委縮と脂肪増加を防ぐことで、最大筋力および最大パワーの低下を最小限に抑えることができる。
致命的な怪我がないことが前提になりますが、厳しい節制と妥協しない日々のトレーニングの積み重ね、そして、最大筋力や最大パワー以上に、高いスキル(技術、戦術、経験等の総合力)が要求されるスポーツであれば、40歳を超えて第一線で活躍することは特殊なことではないと思います。