高校サッカー研究4

今回も本田裕一郎監督の著書です。前回の『高校サッカー勝利学』は本のサイズはひと回り小さいものの、ページ数は257ページでほとんど文章です。本田監督のお考えを詳しく知りたい方向けと言えます。一方。こちらの『サッカー部 監督力とコーチ術』は127ページですが、写真や図解を使い具体的な練習方法の解説が出ているので、練習メニューを考えたい指導者の皆さんにはこちらの本の方が良いと思われます。

監修:本田裕一郎

発行:2015年11月

出版:メイツ出版

目次

はじめに

序章 

 ゼロからのスタートでも強くなれる!

 指導者の役割とレベルアップのポイント

勝にこだわり続ける指導者が自立心を持って勝利をつかむチームを作る

●指導者に必要な3つの資質とは

●チーム状況に応じた練習計画とレベルに応じた目標を設定する

●年間スケジュールに応じた練習内容を工夫する

●サッカーノートを書かせて日々の練習を振り返る

●高校生年代に重要なのは戦術を理解すること

●チーム戦術の中でいかにパフォーマンスを発揮するか

●海外では「18歳でプロ」は当たり前。世界基準を知ることも指導者の役割

●3年間の努力は今後の人生の糧となる

●「変わること」を恐れずに常にチャレンジする

●あふれる情報に囲まれて選択肢が多すぎる

●何事も諦めずに前に進む気持ちを忘れずに

HALF TIME1 世界基準を見据えて10代からプロになれる選手を育てる

Daily training

基礎体力と柔軟性を高めPK練習を繰り返して経験を積む

第1章 初級編 ベーシックな技術と戦術を身につける

Session1 シンプルなボールタッチですばやく攻撃

HALF TIME2 思いが強ければ行動が起きる。行動することでさらに目標に近づける

Session2 システムの基本を理解する

HALF TIME3 親御さんとも良好な関係を築くことがチームの和や結束を深める

Session3 ポゼッションとセットプレーの基本を理解する

HALF TIME4 あいさつ、掃除など基本的な生活習慣を身につける

Session4 ボールポゼッションとプレスの意識を高める

Column1 フィジカルトレーニング1

HALF TIME5 高校生年代は心身ともに成長のピーク

第2章 中級編 戦術を理解し柔軟な対応力をつけ

Session5 攻撃のスピードを上げる

HALF TIME6 「勝負に勝つ」ことを目的に具体的な目標を持ってステップアップ

Session6 スペースを広く使ってクロスボールを入れる

HALF TIME7 「やらせる」「見ている」「チェックする」が指導の三大ポイント

Session7 カウンター攻撃でシンプルにゴールを狙う

Session8 試合の状況に応じた攻撃のスピードを使い分ける

HALF TIME8 監督の役割とコーチの役割

Session9 オープン攻撃からクロスボールをすばやく入れる

HALF TIME9 日頃からプロになったつもりで高い意識で練習に取り組む

Session10 球際のプレーを強化する

Session11 試合前のコンディションチェック

HALF TIME10 まず何事も「まねる」ことから自分なりのアイデアが生まれる

HALF TIME11 練習の目的はイメージで伝え考えさせることで自立心を養う

第3章 上級編 試合を想定して実戦感覚を磨く

Session12 ひとつ先のプレーを読みセカンドボールを拾う

HALF TIME12 「戦うメンタリティ」は「一番」になることで培われる

Session13 試合前の課題を整理しプレーの精度を上げる

HALF TIME13 試合でも平常心を保ちリラックスする方法とは?

Session14 ボールを保持してプレスをかける

HALF TIME14 「運」は決して偶然ではなく自分でつかみ取るもの

Session15 あらゆる状況を想定して試合にのぞむ

HALF TIME15 負けた原因を考えることが次に勝つことにつながる

Column2 フィジカルトレーニング1

序章 

ゼロからのスタートでも強くなれる!指導者の役割とレベルアップのポイント

「勝ちたい」「強くなりたい」という情熱を持ち続けられる指導者とチームは必ず結果を出すことができる。

・レベルに合った練習計画に基づいてトレーニングすることが重要である。

勝にこだわり続ける指導者が自立心を持って勝利をつかむチームを作る

指導者に必要な3つの資質とは

・まず「真似る力」。色々な情報から、良いと思うことを真似してみることは大切である。

・次に「段取り力」。チームの実情とレベルを見極めた上で、現状に最も適した練習プランを考えることである。

・最後に「実行力」。プランを実際に行い、継続することである。まさに「継続は力なり」である。

チーム状況に応じた練習計画とレベルに応じた目標を設定する

年間計画を立てる上で重要なことは、選手のレベルや個性である。

・チーム全体の現状が把握できたら、今年の目標を少し高めに設定する。目標は具体的な方が良い。

選手個々にはチームの目標に沿った内容で目標を立てさせる。

・達成可能な小目標と同時に、大目標も設定する。

・例えば、ある選手が「レギュラーになる」という目標を掲げた場合、「どうしたらレギュラーになれるのか」「そのために必要なことはなにか」を具体的に考えさせることがとても大切である。そして、走力の課題として、「クーパー走でチーム全員が3300m以上走る」というような目標が生まれ、選手が納得してその目標に挑戦するようになる。

・この段取りをしっかり取らないと、その日暮らしの練習で終わってしまう。

目標には技術面、メンタル面、チームとして達成すべき点などいろいろな要素があるが、それぞれに対して指導者は具体化して設定し、それを選手個人に落とし込む(具体化する)ことを繰り返していく。

年間スケジュールに応じた練習内容を工夫する

・年間計画では、テクニックを磨く時期、体力をつける時期、戦術を覚える時期を設定し、いずれもレベルアップさせる。

・練習は次の試合を意識し、逆算して必要な練習を行うようにする。

・週の練習はあらかじめ決めておくのではなく、大体のアウトラインは決めるものの、前日の練習を踏まえて都度、必要な練習を加えたり、変更したりして臨機応変に対応する方が良い。

練習で重要なことは、必ず記録に残すということである。やりっ放しでは練習内容や練習計画を振り返ることはできない。記録が蓄積されることで資料としても活用できる。

サッカーノートを書かせて日々の練習を振り返る

サッカーノートをつける目的はチームとして、個人として目標を達成するために何をしたか、どんなことを考えたかなどを記録することである。重要なのは過ぎたことを反省するより、明日のことを考えさせることである。今日の出来事や勉強になったことなど、その日の自分の心の有り様を中心に記入させるようにしている。毎日、ノートに向き合うことで自分を客観的に見つめ直す習慣をつけることができる。

高校生年代に重要なのは戦術を理解すること

・高校生年代で最も重要なことは、持っている技術と選手の特長から、チーム戦術を作ることである。

チーム戦術の浸透には全体的なイメージを共有することが必要である。これは選手を「型にはめる」のではなく、例えば、「今この状況ではボールを高い位置で奪うのか、低い位置で奪うのか」などをゲームの中で瞬時に判断し、それを的確に実行できるようにすることである。

・戦術は、まず自分のチームの持ち味をいかすことだけを考える。また、主導権を握れない時の戦術を考えておくことも重要である。

チーム戦術の中でいかにパフォーマンスを発揮するか

・「今なぜそこでボールを持っていいのか、ダメなのか、ドリブルせずにパスを回すのか・・・」などを、繰り返し行うことでひとつひとつ覚えていく年代である。

海外では「18歳でプロ」は当たり前。世界基準を知ることも指導者の役割

・海外ではプロのチャレンジは「16~18歳」、それ以降は即戦力を期待される。

3年間の努力は今後の人生の糧となる

・目標に向かって努力することが大切であることも教える。「3年間、夢中になって、努力し学ぶ」という体験がとても大事である。

「変わること」を恐れずに常にチャレンジする

・失敗を恐れて行動しない人が多いが、何かを思い合った時には、まず行動してみることを勧める。

あふれる情報に囲まれて選択肢が多すぎる

・情報に振り回されない時間は現代社会においては非常に貴重である。意図的にこのような「何もすることがない」時間を作ることも必要だと思う。

何事も諦めずに前に進む気持ちを忘れずに

・中学生のリクルーティングは、他の指導者とは異なる独自性が求められる。 

第1章 初級編 ベーシックな技術と戦術を身につける

Session1 シンプルなボールタッチですばやく攻撃

・現代サッカーはプレスが厳しく、少ないタッチ数でパスを回すことが重要となる。これには正確にトラップする技術と正確にキック(パス)する技術、周りの状況を把握するスキルが必要になる。

・狭いスペースでのパス回し、トラップの位置やパスの方向などひとつ先を読む戦術眼も必要である。

サッカーは相手からボールを奪うゲームでもある。これには「どのようにボールを奪うか」という共通意識をもち、全員がそれぞれの役割を理解しプレーする必要がある。一人がパスコースを限定しつつボール奪取に動き、回りのプレーヤーはパスコースを消すためにパスを受けようとしている相手プレーヤーにプレッシャーをかける。これを続けることで、相手は追い詰められる。ここで、1対1で負けることがなければ、ボールを奪い取ることができる。

・タッチ数の課題は、トラップ、キックという基本技術の反復練習と、タッチ数を制限した練習を繰り返し行うことで上達する。

HALF TIME2 思いが強ければ行動が起きる。行動することでさらに目標に近づける

『サッカーで試合に出場できるのはたった11人。誰もがそのメンバーに入って試合に出たいという気持ちをもって日々練習の励んでいるはずです。しかし実際には、必ず試合に出られる人間と出られない人間が出てしまう。その差は本当に紙一重ですが、私はそれが「試合に出たい」という思いの強さの違いではないかと考えています。

「自分ほど練習している人間はいない」「絶対に試合に出る」という思い、あるいはその試合に出られなくても「次は絶対に這い上がる」という思い、そういった強い思いを持たずに、何となく毎日練習しているだけでは決して結果は出ません。きのうと同じ自分ではなく、きのうの自分は忘れて今日はきのうよりも良くなっている自分を目指す。そういう強い思いを持っていれば、必ずそれは行動に現われるものです。試合に出られなくて悔しい思いを「出たい」という強い思いに変えることで次の行動が生まれ、それがステップアップへとつながっていくのです。

思いが強い人間は、練習が終わってもピッチを離れてもずっとサッカーのことを考えているものです。それは選手だけでなく、指導者も同じです。どんな時でもサッカーのことを考え続けることでさらに思いが強くなり、その強い思いこそが行動を起こすのです。そして行動は明日からではなく、今日いまこの時から起こす。人間は自分から行動を起こさないと決して変わることはできないのです。

Session2 システムの基本を理解する

・高校生年代は、体力的にも精神的にも一番成長できる時期である。

・戦術練習は守備と攻撃に分け、目的を絞って行うことが望ましい。

・ヘディング練習はディフェンスを入れないで繰り返す練習をする。

・守備は全員で連動して動くことも必要なので、ポジショニングの練習も取り入れる。

・シュート練習は毎日必ず行う。ミニゲームや攻撃練習は、必ずシュートで終わることを徹底する。

Session3ポゼッションとセットプレーの基本を理解する

・ボールポゼッション、プレス、セットプレーは年間を通じて繰り返しトレーニングする必要があるが、マンネリ化しやすい。これを改善するには、本気でボール奪取することである。

・試合を想定した状況を作り、どんなプレーも実戦をイメージすることが重要である。

強い精神力は日頃から勝ちを常に意識することで得られる。

・セットプレーを習得するには時間がかかる。いくつかのパターンを練習し、試合展開や相手に応じて使い分けられるようになるのが理想である。

・セットプレーは正確に蹴れるキッカーと決定力のあるシューター、こぼれ球に反応する選手の動きである。特にキッカーは毎日根気よく練習する必要がある。

Session4 ボールポゼッションとプレスの意識を高める

・相手のボールを奪ってすばやく攻撃に転じることが求められており、ひとりひとりのボール奪取能力が不可欠である。ヘディングやボディコンタクトなどの練習に加え、ボール奪取のスキルアップを学ぶことも大切である。基本は「絶対に奪うという強い意志を持つことである。その意識が欠如していては、守備力は向上しないと考えた方が良い。

・ボール奪取はチームが連動して動く効果的なプレスが必要である。誰がボールに行き、誰がスペースを埋めるのかを戦術として理解させ、実戦を想定した練習を繰り返し行うべきである。プレスは相手を前後ではさむようにするのがコツである。

第2章 中級編 戦術を理解し柔軟な対応力をつける

Session5 攻撃のスピードを上げる

・状況に応じて戦術は臨機応変に組み立てる必要がある。したがって、やみくもに攻め急ぐべきではない。相手の位置やスペースの有無から状況判断し、速攻と遅攻の切り替えをしながら試合の主導権を握る。

・常にプレスをかけてボールを奪うことは基本である。

ボールを失った瞬間が一番ボールを取り返しやすいということを知っておくべきである。

・毎日の練習で「取られたら取り返す」という意識を徹底することで、勝者のメンタリティを育てていく。

HALF TIME6 「勝負に勝つ」ことを目的に具体的な目標を持ってステップアップ

『強い選手を育てるためには、メンタル、フィジカル、技術などさまざまな要素が必要です。スポーツは勝負であり、勝負に勝つことが目的であるからには、日頃のトレーニングでも常に味方に勝つことを考えることが必要であり、勝つことでしか進化はないと私は考えています。

もちろんどんな試合でも、必ず勝てるという保証はありません。しかし負けた場合でも絶対にそのまませず、「次はどうしたら勝てるか」を常に考える必要があります。指導者の役割とは勝ち続けることであり、「勝とう」とする情熱を常に持ち続けることです。負けた責任はすべて指導者にあり、決して選手のせいにしないことは言うまでもありません。

監督の役割とは、勝たせて自信をつけさせて育てることであり、それはとりも直さず最終的には社会で活躍できる人間を育てることでもあります。年代別にそれぞれ成長のしかたは異なりますが、スポーツに勝ち負けが伴うのはどの世代でも同じです。高校生年代では「なぜ勝ったのか」「なぜ負けたのか」の理由を考えさせることで、ステップアップするための新たな目標を持たせることができます。

大切なのは、いきなり高い目標を掲げるのではなく、具体的で達成しやすいものを徐々にクリアしていくことです。地区大会で勝つ→県大会で勝つ→県大会ベスト8・・・とひとつずつ目標を達成しながら、より高いステージを目指してレベルアップしていくことが必要なのです。』

Session6 スペースを広く使ってクロスボールを入れる

・実際に試合ではフリーは状態でシュートを打てることはほとんどない。重要なことはペナルティエリアの狭いスペースでもボールを失わない足元の技術である。ペナルティエリアの外からでシュートを狙える正確なキック力も武器になる。また、両サイドのスペースを有効に使って攻撃する戦術も重要である。

・オープン攻撃では、ボールを奪ったら外のスペースを意識してパスを回すことが基本である。クロスボールはトップスピードに乗った状態で正確に蹴る技術が求められる。これは繰り返し練習して身につける必要がある。また、クロスボールの何人走り込むのか、さまざまなケースを想定した練習が計画する。

Session7 カウンター攻撃でシンプルにゴールを狙う

・勝つために相手チームを研究・分析して、どのように戦ったらよいのかを考えるのが指導者の最大の役割である。

・カウンターはチーム全員でイメージを共有することが大切。

Session8 試合の状況に応じた攻撃のスピードを使い分ける

・数的不利な状況では、一般的にはボールキープして時間を作る。このためにはボールを失わないための技術の習得が必要になる。このような様々な状況に応じた技術を身につけるようにする。

・戦術練習はひとつひとつ、完全に理解するまで根気よく続けないと習熟は難しい。

HALF TIME8 監督の役割とコーチの役割

『全員が同じ方向性で練習に取り組むためには、具体的なチームモデルを設定して共通のイメージを持たせることが大切です。「バルセロナのようなパス回し」「ミランのような攻撃」など具体的なチームモデルを設定すると、選手も理解しやすいでしょう。目標が具体的になればなるほど、それを実現するためにどんな練習をして、どんな戦術を取りいれたらいいかのイメージが明確になります。

選手の人数が多くなると、ひとりの指導者だけではすべての選手に目が届きにくくなり、コーチとの分業が必要になります。基本的な方向性を共有しつつ、それぞれのやり方を尊重し、連携してチームづくりを進めていく必要があるでしょう。それぞれのコーチが自分の色を出しながら指導することでレベルアップし、成長するのをサポートするのも指導者の役割のひとつだと私は考えています。』

HALF TIME9 日頃からプロになったつもりで高い意識で練習に取り組む

『毎日の練習では、「きのうよりも今日はこれができた」という達成感が得られるような練習をさせることが大切です。「今日はこれができたから、じゃあ明日はこれをやってみよう」という練習を続けることでレベルアップしていくのです。』

Session10 球際のプレーを強化する

・ヘディングの競り合いでは、体を預けたり、タイミングをずらしたりするなど工夫することで身長差を克服することは可能である。

・スライディングは基本を理解し、強さと同時にファウルにならない方法を身につける。

Session11 試合前のコンディションチェック

・基本的に試合の前の週は戦術練習を重点的に行い、対戦相手の特徴をイメージしながら練習することを意識させる。

・ハードな練習はせず、守備や攻撃の約束事を再確認やセットプレーの練習をする。

・選手だけのミーティングも効果的である。実際の試合でどのようにプレーするかをなるべく自分たちで考えさせることで、自立心を養うことができる。

・選手選考は試合前日の体の切れ等を確認してメンバーを決める。

HALF TIME10 まず何事も「まねる」ことから自分なりのアイデアが生まれる

『指導者にも全く同じことが言えるでしょう。最初は何でもまねからのスタートでいいのです。チーム作りや指導法などを考える際に、まず身の回りにあふれている情報から「この目標を達成するためには何をしたらいいか」を取捨選択し、わからなければモデルとなるチームを見てまずはまねをしてみる。サッカーのチームだけでなく、いろいろなスポーツや競技を見て盗むことも大切です。それを続けていくうちに、しだいに自分なりのアイデアが生まれ、指導にもアレンジを加えていくことができるようになるのです。』

HALF TIME11 練習の目的はイメージで伝え考えさせることで自立心を養う

『指導の際に重要なのは、トレーニングの際に1から10まですべてを選手に指示いないことです。

「このプレーをするのはこういうイメージで」という指示の出し方をすると、具体的な結果を出すためにどうしたらいいか、いやでも必死で考える。これが非常に大切で、その結果生まれたアイデアを実現するために120%努力して工夫することがステップアップにつながるのです。

第3章 上級編 試合を想定して実戦感覚を磨く

Session12 ひとつ先のプレーを読みセカンドボールを拾う

・ひとつ先を読むとは、例えば、シュートの跳ね返りやヘディングのこぼれ球、どこでパスを受けられるか、どこにパスが出るかなどをいち早く予測することで相手より先に動き出すことである。

HALF TIME15 負けた原因を考えることが次に勝つことにつながる

『スポーツは勝負が目的であり、必ず勝ち負けが決まります。誰でも「勝ちたい」と思って試合に臨みますが、残念ながら負けることもままあります。指導者が負けたのです。

高校生年代に「負けてもいい」はないと私は常に考えています。そのためには日頃のトレーニングから勝ち負けを覚えさせて勝つメンタリティをつけることが大切になります。どんなチームでも負けていいゲームはありませんし、負け癖がついてしまうのは一番良くありません。

負けた特に、その「負け」をどのように受け止めるかはとても重要です。「負けたけど内容は良かった」では次の勝ちは生まれません。また選手を怒ったり、必要以上に慰めたりするのは良くありません。それよりも負けた原因をしっかり分析し、次に勝つ方法を考えることが大切なのです。なかなか勝てない相手に対して負けた原因を修正して次にのぞむことで、選手も指導者も少しずつレベルアップしていく。負けを簡単に受け入れる指導者がいるチームは決して強くなりません。どんな弱いチームでも、負けん気の強い指導者がいれば、必ず這い上がっていけるのです。

感想

私は大学まで「勝てば官軍、負ければ賊軍」勝負にこだわるサッカーの魅力を体感してきました。真剣勝負を前にチーム一丸となり、勝利を追い求める中で強い絆がつくられました。今では、その「時」を共有した友が人生を豊かにしてくれています。

サッカーを通してどれほど成長できたのかは分かりません。しかしながら、「何が1番良いのかを考え」、「やると決めたら絶対に逃げない」。そのような考えや経験が充実感を与え、自分自身の人生の糧になったのは間違いありません。

大瀧先生の考え抜く、これが基本のように思います。そのためには自分自身と向き合うこと、そして記録に残し、少しずつ積み上げていくこと。その姿勢と行動力が人を成長させ、同時にチームを強くするのではないかと思います。