私が所属する団体は、ある目的のために「非営利型の一般社団法人」を目指すことになりました。
以下の図で見ると、“法人税法上の取り扱い”と書かれた色付きBox内の中央になります。これは公益法人に位置づけられる、一般社団法人というものになります。
当初はお金を払ってでも司法書士の先生にお願いした方が良いのではないかと考えましたが、結果的には、手間をかけてでも自前で作るという選択は正解でした。それは定款は会社経営のルールブックであり、定款を深く理解すること、そして、法人立上げに関わる全ての人が理解しようとすることがとても重要であることを知ったためです。
画像出展:「一般社団法人・一般財団法人と法人税」
以下の図にあるように、最初に取り組むべきは“定款”の作成です。
画像出展:「図解 社団法人・財団法人のしくみ」
これを見ても”定款”がとても重要であることが分かります。
ネット上に多くの情報があるのですが、それらを調べつつも、やはり一冊は読んでおきたいと思い、購入したのは『改訂4版 一般社団法人・一般財団法人の実務 設立・運営・税務から公益認定まで』という本でした。
著者:熊谷則一、清水謙一
出版(第4版):2021年9月
発行:全国公益法人協会
一通り目を通し、いずれにしても定款を作らなければならないのは決まっていことなので、内容を一つ一つ吟味し理解することが大切であると考え、本書1-3の「定款作成の手引き・一般社団法人(社員総会+理事+監事)」に書かれている条文を書き写すという作業に移りました。そして、「こんな感じかなぁ」と思いながら、微妙に編集していきました。
この行動は悪くはなかったと思うのですが、“定款のひな型”については、「日本公証人連合会」のサイトにある“定款等記載例”の中から、最も近いものを利用する方が良かったかも知れません。
『公証役場・公証人は、遺言や任意後見契約などの公正証書の作成、私文書や会社等の定款の認証,確定日付の付与など、公証業務を行う公的機関(法務省・法務局所管)です。』
『以下の定款の記載例は、起業者の方の参考に供するため、飽くまでも一つの事例として提示したものであり、網羅的な内容とはなっておりません。したがって、法人の目的、株式の内容、法人の機関設計、役員の責任軽減の有無等についてよく御検討いただき、公証人にも事前に御相談の上、作成されるようお願いいたします。』
何とか、自分なりの“定款ひな型”はできたので、司法書士あるいは行政書士の先生に、確認事項を列記したものを用意し、お話を伺って一気に完成させてしまおうという作戦を立てました。
ネット検索すると、中には初回1時間相談無料という事務所もあり、まずは当院の近くにある事務所の先生に訪問してきました。
「定款の内容を確認するとなると、それはまさに業務になってしまうので無償ではできない」とのことで、あっさり、作戦は未遂に終わってしまいましたが、貴重なアドバイスを頂くことができました。
1.うまくいっている一般社団法人に共通していること
①自分たちの団体を分かりやすく正しく公表していること。
②常に最新の状況を知ってもらえるように、情報をアップデートし続けていること。
『これにより世間の人は協力しよう、支援しようという気持ちになるものです。そして、このことが最も重要なことです。怪しい一般社団法人ほど、これらのことができていません。また、一般社団法人が組織的に壊れていく原因の多くは、お金に関わるところです。お金の管理がしっかりできないと問題が大きくなり、遂には解散ということになっていきます。優れた団体のサイトには情報がたくさん出ているので、それらを参考にするといいですよ。』とのお話でした。
設立が2018年3月となっているので、4年以上前ということです。とても完成度の高い素晴らしい法人です。
第1回目の作戦は失敗に終わったものの、あわよくば何とかなるのではないかと思い、懲りずに第2の先生を見つけました。「定款があるならそれを持参してください」とのコメントもあり、「もしや。。。」と期待しつつ、その日がやってきました。が、結果は2連敗でした。ただ、今回も色々なお話を伺うことができ有意義な時間をもてました。
最後に、『「埼玉県よろず支援拠点」という支援団体があるので、そこに問い合わせてみるのも一案ですよ。』とのアドバイスを頂き、その日の夜に“問合せフォーム”を使って依頼をかけました。
『「埼玉県よろず支援拠点」は、経済産業省・中小企業庁が、全国47都道府県に設置する経営なんでも相談所です。
中小企業・小規模事業者、NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人等の中小企業・小規模事業者に類する方の売上拡大、経営改善など経営上のあらゆるお悩みの相談に無料で対応します。』
すると、翌日、早速お電話を頂きました。お話では『こちらより、“創業・ベンチャー支援センター”の方が適しているので、そちらを紹介させて頂きます。』とのことでした。そして、アポ取りをしました。
『創業・ベンチャー支援センター埼玉は、これから創業をお考えの方、創業後の経営にお悩みの方、新たな事業展開を目指す事業主の皆様を全力でサポートします。』
創業・ベンチャー支援センターでは月2回、「司法書士相談会」というのを開催されているとのお話だったので、すぐに予約を入れました。受付の方からも、『作ったひな型をメールで送ってください。事前に先生に見て頂きます。』とのことで、遂にたどり着いたなという気分でした。
実は、この創業・ベンチャー支援センター訪問の翌日に、埼玉会館の近くにある、の“公証センター”にアポが取れていました。本当は、この日の創業・ベンチャー支援センター訪問で、概ね完成させ、最後のチェックを公証センターの先生に見てもらおうという狙いだったのですが、それは外れ、順番が逆になってしまいましたが、それでもゴールは近いという気持ちでした。
なお、公証センターにアポが取れたのは、“基金”と“寄付”と“会費”の位置づけなど調べたのですが、ピンと来なかったため公証センターに問い合わせたところ、電話に出られた受付の方が「相談に来られますか?」との嬉しい提案があり、すかさず、それにのったというものでした。
『定款認証には,紙(書面)の定款を認証する方法と、インターネットを介して電磁的記録の定款(電子定款)を認証する方法とがあります。このうちインターネットを利用した電子定款認証の利用方法は、日本公証人連合会のホームページや法務省の専用サイトに分かり易く説明されていますので,ご参照ください。』
この公証センターの訪問で、ついに定款のひな型はほぼ完成しました。ほぼというのは、いくつか自信のない箇所が残っているという意味です。これらの宿題は、創業・ベンチャー支援センターの「司法書士相談会」でクリアにする予定です。
“定款”は会社のルールブックとされ、法人立上げメンバー全員で検討し、納得いくものを作り上げる必要があります。
ひな型完成に王手をかけていたわけですが、社員の対象範囲をどうするか、理事会を設置するかどうかなど、メンバーとの検討会の中でいくつか課題が浮上し、ゴール直前で数歩後退する事態になりました。
私自身も特に最初は「定款=事務手続き」という認識で、決して高くなかったのですが、この後退は他のメンバーの定款に対する関心を高めるきっかけとなり、正しいプロセスを経て、ゴールを切れるという見通しが立ったという意味でとても良かったと思います。思わぬ収穫という感じです。
ただ、新たな宿題が降りかかり、定款との悪戦苦闘は今しばらく続くことになりました。