10月1日に放送された「やべっち F.C.」には、しゃべりが得意とは思えない原口選手の独占インタビューがありました。
タイ戦では狙いすましたようなダイビングヘッドが見事に決まり、劇的な勝利だったイラク戦でも技ありゴール、そして何といっても積極的な守備でチームを鼓舞する姿は、レギュラーポジション取りに向けて視界良好という感じです。
その独占インタビューの中で、語られた「止まれる体を作る」という内容は、新鮮かつ印象的で放送後さっそくネットで調べてみました。
そして、「Sports Graphic Numberweb」 にほぼ同様の記事が出ていました。
この中で、フィジカルコーチとして紹介されていた「谷川先生」とは、アテネオリンピックで110mハードル日本代表の経験をもつ、谷川聡氏のことでした。
「止まれる体」について書かれた本は無いかと探してみましたが、残念ながらそのような本はありませんでした。
実はこのWebサイトを見つける途中で、同じくらい興味深いサイトを発見しましたのでこちらもご紹介します。それは、ジャーナリストの片野道郎さんのTIFOSISSIMO!!!というアーカイブで、記事の見出しは「ローマのフィジカルコーチが語る中田英寿(2001.04)」というものでした。
そこには、
『…“フィジカル”という側面に焦点を当ててみたい。フランス戦の日本代表の中で、中田ひとりだけが、濡れた芝に過剰に悩まされることも、激しい当たりに吹き飛ばされることもなく、言ってみれば“フランス人と同じように”プレーできたのは一体なぜなのか…』
とは、まさに当時の試合映像から感じた私の疑問そのものでした。そして、「止まれる体」のトレーニング方法について、簡潔ですが次のように記述されていました。
『瞬発力強化のメニューとしては、プライオメトリクス(伸展性筋収縮を伴うトレーニング)や上り坂のダッシュなどがあります。伸展性筋収縮、つまり筋肉が伸びきった状態でのパワーというのは、走るときではなく止まるときに重要になります。同じくらい足が速い2人の選手がボールを追ったとき、早くボールに追いつくのは止まる能力の高い方ですから、ブレーキングは重要です。ヒデのブレーキはABSつきですよ。スリップしないで短距離で止まれる』
さらに、
『“倒れない”ためのバランス能力の強化。“怪我や故障をしない”ための筋力バランスの取れた脚づくり、“ボールを奪われない”ため、あるいは“スリップせず短距離で止まる”ためのパワーアップ——。中田が取り組んできたひとつひとつのトレーニングメニューが、プレーの個々の局面に即して、それに対応する身体/運動能力を高めるという、明確かつ具体的な目標を持っていることに、改めて驚かされる。』
ということがコメントされていました。
この記事は15年前の2001年の話です。今までフィジカルコーチという仕事には興味がなかった私でしたが、一気にフィジカルコーチの存在に関心を持ちました。
そして、日本選手に求められる「決定力不足」はメンタル面に着目するより、実戦から生まれた欧州型の強いフィジカルを身につけることが早道になるかもしれないと直感しました。
最後にASローマのフィジカルコーチ、マッシモ・ネーリ氏が中田選手に行ってきたフィジカルトレーニングについて書き出したいと思います。
①中田選手自身がフィジカルの強化を不可欠と考えていた。
②ペルージャ時代から、チームの練習の前後に「独自のメニュー」によるトレーニングを積極的にこなしていた。
③イタリアではフィジカル・トレーニングの2〜3割は個人別に作られた特別メニューである。
④主な強化のターゲットにしていたのは、「動的・静的なバランス能力」、「下半身の筋力」、そして「有酸素・無酸素の持久力」であった。
⑤下半身は脚全体の筋肉のバランスを高めることが重要である。(中田選手の場合、ふくらはぎの筋肉が非常に発達しておりパワーもあるので、大腿部の筋肉を中心に強化した)
⑥瞬発力強化のメニューとしては、プライオメトリクス(伸展性筋収縮を伴うトレーニング)や上り坂のダッシュなどがある。
⑦伸展性筋収縮、つまり筋肉が伸びきった状態でのパワーというのは、走るときではなく止まるときに重要になる。